会社にバレずに副業する方法(3)|マイナンバーで副業がバレる?

マイナンバー

はじめに

平成27年10月から、日本国内に住民票のあるすべての人(外国人を含む)に、マイナンバー個人番号)が通知されています。

 

パートやアルバイトも含め、人を雇用している会社は、年末調整後に税務署や市区町村に調書を提出します。

 

これらの調書には、従業員のマイナンバーを記載する必要があるため、会社からマイナンバーの提出を求められた方も多いのではないでしょうか。

 

 

さて、この「マイナンバー」ですが、あなたはマイナンバーについて、以下のような疑問を持っていませんか?

 

  1. マイナンバーとは何か? マイナンバー制度について教えてほしい。
  2. マイナンバーによって副業が会社にバレるのか? その対策を知りたい。

 

今回の記事では、上記二つの質問について、お答えしていきたいと思います。

 

 

マイナンバー制度について

1. マイナンバーとは何か?

マイナンバー(個人番号)とは、一人が一つずつ持つ12桁の番号のことです。

 

マイナンバーは生涯にわたり使用するもので、番号が漏えいし、不正に使われるおそれがない限り、変更されません[1]。

 

平成27年10月から、国内に住民票を有する人に、順次「通知カード」が届けられており、カードに書かれた「個人番号」がマイナンバーを表します。

 

マイナンバーは社会保障、税、災害対策の分野の手続のために行政機関等に提供する場合を除き、むやみに他人に提示を求めたり、提供したりすることはできません[1][2]。

 

ですので、法律で認められていない場面で、企業や個人が他人にマイナンバーの提示を求めることはできませんし、個人がブログやSNSなどでマイナンバーを公表することも法律違反になる可能性があるので、やめましょう[2]。

 

2. マイナンバーを導入するメリットは?

これまでも、行政機関への手続きは問題なく行われていたのに、なぜマイナンバー制度を導入するのでしょうか?

 

マイナンバーを利用するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。

 

行政の効率化

たとえば、「田中実」さんという人がいたとします。

 

ある地方公共団体が、この「田中実」さんが社会保険料の減免の対象になるかどうか、国の行政機関に問い合わせを行いました。

 

ところが、この「田中実」さん、実は日本で最も同姓同名が多い名前なんですね[3]。

 

何千人という「田中実」さんが検索で表示されてしまいました。

 

そこから、住所などを使って、その地方公共団体にお住まいの「田中実」さんを探していくのですが、ものすごく時間と労力のかかる作業ですよね。

 

 

しかし、マイナンバーがあればどうでしょうか。

 

地方公共団体が問い合わせをするときに、

 

「個人番号『xxxx yyyy zzzz』の方の情報を教えてください」

 

と言えば、一発で誰を表すのか、特定できますよね。

 

このように、これまでは、各機関が「住民票コード」や「基礎年金番号」、「医療保険被保険者番号」といったそれぞれの番号で個人情報を管理していたのですが、「マイナンバー」という共通の番号を導入することで、個人の特定が迅速・確実にできるようにになるわけです[2]。

 

国民の利便性の向上

前述のとおり、マイナンバーを導入することで個人の特定が容易になるため、年金や福祉などの申請をするときに、添付しなければならない書類が削減されます[1]。

 

また、平成29年7月から「マイナポータル」というサイトで、自分の個人情報の内容や、やり取りの記録が確認できるようになる予定です[1]。

 

公平・公正な社会の実現

マイナンバーを活用することで、その人の所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなるため、負担を不当に免れたり、給付を不正に受けることを防止し、本当に困っている人に必要な支援を行うことができるようになります[1]。

 

3. マイナンバーが利用される場面とは?

では、マイナンバーがどのような場面で利用されるのかを見ていきましょう。

 

マイナンバーは、平成28年1月以降、国の行政機関や地方公共団体などにおいて、「社会保障」「」「災害対策」の3つの分野の行政手続きを行う際に必要となります[1][4][5]。

 

具体的には、以下のような手続きがあります。

 

社会保障
  • 年金の資格取得や確認、給付
  • 雇用保険の資格取得や確認、給付
  • 医療保険の資格取得や確認、給付
  • 福祉分野(介護保険、児童手当 等)の給付、生活保護 など

 

  • 税務当局に提出する確定申告書、届出書、調書(源泉徴収票 等)などに記載
  • 税務当局の内部事務 など

 

災害対策
  • 被災者生活再建支援金の支給
  • 被災者台帳の作成事務 など

 

このような手続きにおいて、マイナンバーが必要となります[1][4]。

 

ですので、あなたがマイナンバーを使用する場面としては、

 

  1. 源泉徴収票を作成してもらったり、年金や健康保険、雇用保険の手続きをしてもらったりする際に勤務先に提出する。
  2. 年金の給付や福祉制度を利用する際に行政機関へ提出する。
  3. 保険金の支払いや株式の特定口座の開設などの手続きで金融機関に提出する。

 

といった使い方が主になるでしょう[1][2][4]。

 

 

マイナンバーによって副業が会社にバレるのか?

上記のような目的で導入された「マイナンバー」ですが、あなたが心配しているのは、

 

「勤務先にマイナンバーを提供することで、会社に副業をしていることがバレてしまうのではないか」

 

ということではないでしょうか。

 

初めに結論を言ってしまうと、

 

マイナンバーが原因で、会社に副業がバレる可能性は低い

 

です。

 

そもそも、前回の記事で述べたように、副業が給与収入の場合、前の年の給与収入合計額が記載された住民税の通知書が本業の会社に送付されてしまうので、マイナンバー制度に関係なく副業がバレてしまいます[2]。

 

次に、副業が給与収入以外(事業収入など)の場合、確定申告で住民税を普通徴収(自分で納付)にすることで、副業にかかる住民税の通知書が本業の会社に送付されるのを防ぐことができますが、このような収入もマイナンバーによってバレてしまうのか、ということが焦点になります。

 

これに関しては、まず、マイナンバーというものが、法律で定められた事務以外で利用・提供できないことを知っておく必要があります[1][6][7]。

 

具体的には、「社会保障」「税」「災害対策」の分野に関する事務で、法令や地方公共団体の条例で定められた行政手続のみにマイナンバーが利用できるということです[1][2][4][5][7]。

 

したがって、本業の会社としては、社会保険の手続や源泉徴収票の作成のためにマイナンバーを扱うのであり、社員が副業をしているかを調査する目的でマイナンバーを利用するのは違法になります。

 

このことから、今のところはマイナンバーによって副業がバレる可能性は低くなっていますが、将来的にマイナンバーの利用範囲を拡大していくことが検討されているので、今後の動きに関心を持って見守っていくことが大切です。

 

 

まとめ

今回の記事のポイントをまとめると、以下のようになります。

 

  1. マイナンバーは、国内に住民票を持つ人に与えられる12桁の番号で、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」のために導入されたものである。
  2. マイナンバーは、「社会保障」「税」「災害対策」の3つの分野において、特定の行政事務でしか利用できないと法律や条例で定められている。したがって、会社が従業員の副業調査のために利用するのは違法である。
  3. このことから、今のところはマイナンバーが原因で副業が会社にバレる可能性は低いが、今後、マイナンバーの利用範囲の拡大が検討されているので、今後の動きに注意していく。

 

ということです。

 

副業は、会社にバレるのを防ぐためにも、給与収入になるものではなく、事業収入になるものがオススメです。

 

副業で何に取り組めばよいのか迷われている方は、こちらの記事もご覧ください。

 

おすすめの副業、「アフィリエイト」のメリット・デメリット(前編)
おすすめの副業、「アフィリエイト」のメリット・デメリット(後編)

 

 

出典

  1. 「社会保障・税番号制度<マイナンバー>」(内閣府大臣官房政府広報室)(http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/point/
  2. 「マイナンバーの疑問にお答えします! マイナンバーQ&A」(内閣府大臣官房政府広報室)(http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/faq/
  3. 「日本一多い名前フルネームランキング!男は?女は?」(にほんいち.com)(http://xn--n8jyc2a5d4f.com/fullname-134
  4. 「社会保障・税番号制度<マイナンバー>」(内閣府大臣官房政府広報室)(http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/index.html
  5. 「いよいよマイナンバー制度が始まります。」(内閣官房・内閣府・特定個人情報保護委員会・総務省・国税庁・厚生労働省)(http://dwl.gov-online.go.jp/video/cao/dl/public_html/gov/pdf/tokusyu/mynumber/pamph/0005b_all.pdf
  6. 「事業者の皆さま もうすぐ始まるマイナンバー 準備はお進みですか?」(政府広報)(http://dwl.gov-online.go.jp/video/cao/dl/public_html/gov/pdf/tokusyu/mynumber/flyer/mynumber_flyer_j201510.pdf
  7. 「事業者の皆様へ マイナンバー制度の対応は進んでいますか?」(内閣府大臣官房政府広報室)(http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/corp/

会社にバレずに副業する方法(2)|住民税と普通徴収・特別徴収

確定申告書B第一表

はじめに

前回の記事では、

 

  • 会社に内緒で副業をするためには、まず、会社に副業がバレる仕組みを理解する必要があること。
  • そして、その仕組みを理解する土台としての年末調整と扶養控除申告書に関する知識

 

について述べました。

 

今回は、副業が会社にバレてしまう最大の要因である「住民税」と、その対策についてお伝え致します。

 

 

年末調整、その後

前回の記事では、

 

  • サラリーマンなどの給与所得者においては、税務署に代わって会社が所得税を毎月源泉徴収していること。
  • 会社は、12月に従業員の年収が確定したら年末調整を行い、所得税額の計算と精算を行っていること

 

について述べました。

 

それでは、年末調整後、会社は税務署や市区町村長にどのような報告を行っているのでしょうか。

 

 

年末調整が終わると、会社は税務署に「給与所得の源泉徴収票」、市区町村長に「給与支払報告書」を提出します[1]。

 

このうち、所得税については、「源泉徴収税額表」に基づき、所得税を毎月の給与から天引きするだけなので、税務署から会社に税額の通知がされることはないのですが、やっかいなのは住民税のほうです。

 

上記二つの調書のうち、「給与支払報告書」に関しては、給与を支払っているすべての従業員のものを、その従業員が住んでいる市区町村に1月末までに提出しなければなりません[1]。

 

つまり、副業の給与であろうが、年末調整をしてなかろうが、年収が30万円未満であろうが、問答無用で市区町村に送付されます[2]。

 

その後、市区町村は給与支払報告書などに基づいて住民税の計算を行い、会社に対して、5月に「特別徴収税額通知書」を送付します[3]。

 

 

ここで問題となるのは、2か所以上の会社から給与をもらっている場合です。

 

このようなケースでは、市区町村はそれぞれの会社から提出された報告書を基に、その人の年収の総額を集計し、納めるべき住民税を計算します[4]。

 

そして、原則として、前年の給与収入額の大きい方の事業所が特別徴収義務者として指定され、副業の収入分も含まれた通知書が送付されるわけです[3]。

 

このとき、本業の会社は「あれ?自社が支払った給与より多いぞ?」と従業員の副業を知ることになります。

 

 

住民税で副業がバレないための対策

それでは、住民税をきっかけに副業がバレるのを防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。

 

 

その対策を話す前に、住民税には「普通徴収」と「特別徴収」という二つの納付方法があることを知っておきましょう。

 

このうち、「普通徴収」とは、通知書と納付書が本人に送付され、本人が金融機関などで住民税を納付する方法です。

 

そのため、この方法を用いれば、副業の収入や住民税の金額を本業の会社に知られることはありません[4]。

 

これに対し、「特別徴収」とは、通知書と納付書が会社に送付され、会社が従業員の毎月の給与から住民税を天引きし、市区町村に納める方法です[3]。

 

 

であれば、

 

「副業の給与に係る住民税を普通徴収にすればよいのでは?」

 

と思われるかもしれません。

 

 

しかし、それを実現するのは、かなり難しいと思ってください。

 

なぜなら、市区町村が給与所得に係る住民税を徴収するときは、特別徴収の方法によって徴収しなければならないと法律で決まっているからです(地方税法第321条の3①)。

 

また、平成19年に国から地方への税源移譲があり、所得税が減額され、住民税が増額された結果、住民税の滞納が大幅に増加しました[3]。

 

そのため、滞納の防止と税負担の公平を図るべく、全国的に特別徴収を徹底する流れになってきています[2][3]。

 

ですので、本人が役所の窓口に出向いて頼み込んでも、おそらく給与所得に係る住民税を普通徴収で納めることは認められないでしょう。

 

 

皆さん、ガッカリされたかもしれません。

 

給与所得については、本業の会社にバレずに副業するのは難しい

 

というのが当ブログの結論です。

 

ですので、

 

「本業の仕事が終わった後に、どこか違うお店でアルバイトをする」

 

というような副業の仕方は、住民税の通知で副業が本業の会社にバレてしまいますし、労働時間も長くなり、本業への支障が出る可能性も高いので、おすすめしません。

 

では、どうすればよいのか?

 

 

もう一度、地方税法を見てみましょう。

 

地方税法321条の3では、給与所得に係る住民税は特別徴収で徴収しなければならないとされています。

 

ですが、給与所得以外の所得(事業所得など)に係る住民税については、申告書に記載すれば、普通徴収の方法によって徴収してもよいとされています(地方税法321条の3②ただし書き)[3]。

 

具体的には、副業の所得について確定申告するときに、「確定申告書B」の「第二表」右下に、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という欄があります。

 

確定申告書B第二表

 

そこで、住民税の徴収方法を、「給与から差引き」(特別徴収)にするか、「自分で納付」(普通徴収)にするか選択できますので、「自分で納付」の欄に丸を付けて提出してください。

 

確定申告書B第二表(拡大)

 

 

これで、副業の所得に係る住民税については、本人に通知書と納付書が直接送付されるようになります。

 

 

ただし、副業の個人事業が赤字であり、給与所得から事業所得の損失を控除(損益通算)した場合、損益通算された給与所得の金額が会社に通知されて副業がバレることがあるようなので、注意されてください[4]。

 

また、医療費控除や住宅ローン控除など、年末調整で控除しきれない所得控除を確定申告した場合も、すべての所得を合算した情報が会社に通知されるようなので、該当する方はこちらも要注意です[4]。

 

 

まとめ

今回は、住民税とその徴収方法から、会社にバレずに副業する方法について見ていきました。

 

ポイントをまとめると、

 

  • 副業が給与所得に該当する場合、副業の分も含めた住民税の通知書が会社に送付されてしまうので、副業がバレてしまう。
  • 給与所得に係る住民税は特別徴収(天引き)で徴収することが法律で決まっているため、普通徴収(自分で納付)にすることは難しい。
  • 給与所得以外の所得(事業所得など)に係る住民税は、確定申告で普通徴収を選ぶことができるので、給与所得に比べると会社にバレにくい。

 

ということです。

 

 

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それでは、皆さんが副業で自分の夢をかなえ、幸せで豊かな人生を歩まれることを切に願っております。

 

 

出典

  1. 「平成28年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/tebiki2016/PDF/03.pdf
  2. 「給与支払報告書の提出について」(戸田市情報ポータル)(https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/174/zeimu-shiminzei-kyuuhou.html
  3. 「個人住民税(個人県民税・個人市(町)民税)特別徴収に関するQ&A」(愛媛県庁)(https://www.pref.ehime.jp/h10500/tokucho/documents/qanda.pdf
  4. 「4 サラリーマンの副業や税務」(小田公認会計士税理士事務所)(http://office-oda.jp/faq_kyuyoshotokusya_a.html

会社にバレずに副業する方法(1)|年末調整と扶養控除申告書

扶養控除申告書

はじめに

前回の記事では、

 

  1. 余暇に何をするかは、本来労働者の自由なので、就業規則で副業を全面的に禁止するのは法律違反であること。
  2. しかし、本業に支障が出るほど長時間に及ぶ副業をしていた場合、会社による解雇が有効とされることがあること。
  3. また、本業と同業種の副業を行っていた場合も、「企業秩序を乱す」という理由で、解雇が有効とされることがあること。

 

について述べました。

 

したがって、副業の選び方としては、

 

  • 隙間時間で取り組めて、本業に影響が出ないもの。
  • 本業と異なる分野(業種)のもの。

 

を探すとよいでしょう。

 

 

そうは言っても、

 

「できることなら、副業をしていることを会社に知られたくない」

「周りに副業をしている人がおらず、会社が理解してくれそうにない」

 

という人もいると思います。

 

そこで、今回の記事からは、連載で「会社にバレずに副業する方法」について取り上げていきます。

 

 

会社にバレずに副業をするためには、まず、「どのようにして副業が会社にバレてしまうのか?」を知ることが大切です。

 

副業がバレる仕組みを知っておくことで、それを上手に避けることができるからです。

 

ただし、当ブログで紹介する方法は、副業が100%バレないことを保証するものではありません。

 

社内での会話であったり、同僚との付き合い方など、ちょっとしたことから副業がバレてしまうこともあります。

 

副業に取り組む際には、あくまで自己責任ということでお願い致します。

 

 

年末調整について知る

1. 年末調整とは?

会社に秘密で副業するための第一歩として、まずは年末調整について知っておきましょう。

 

年末調整について理解するためには、税務署の立場になって物事を考えてみると分かりやすいです。

 

 

あなたは、税務署の職員として、国民から所得税を徴収しなければなりません。

 

しかし、国内に3400万人いるサラリーマンが、一斉に確定申告で税務署に押し寄せたら、税務署がパンクしてしまいます。

 

あなたなら、どうしますか?

 

 

賢いあなたは、こう考えました。

 

「そうだ。サラリーマンが勤めている会社に、税務署の機能の一部を担ってもらおう」と。

 

つまり、サラリーマンのような給与所得者については、会社が毎月の給与から所得税を天引きして納付し、年末になって1年の収入額が確定したら、正しい税額を計算し、過不足を精算することにしたのです。

 

こうすることで、税務署は給与所得者から所得税を徴収する手間が省けますし、サラリーマン自身も、年末調整を行うことで、確定申告をしなくて済むというメリットがあるわけです。

 

実際、年末調整を済ませた年収500万円未満のサラリーマン(役員を除く)に関しては、税務署は所得がいくらあって所得税額が何円なのかすら把握していません[1]。

 

このように、「企業が税務署に代わって給与所得者の税額を確定し、精算する」ことが年末調整なのです。

 

2. 年末調整の流れ

では、年末調整はどのようにして行われるのでしょうか?

 

年末調整の大まかな流れを示すと以下のようになります。

 

  1. 従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などの申告書を配布し、記入させて回収する。
  2. 従業員一人一人について、その年の給与の総額と源泉徴収した所得税の総額を集計する。
  3. 2.で集計した給与総額から、「給与所得控除」「配偶者控除」「扶養控除」といった各種控除額を差し引き、残りに税率を掛けて所得税額を求める。
  4. 住宅借入金(住宅ローン)がある人は、そこからさらに所得税を控除する。
  5. 4.で最終的に確定した所得税額とこれまでに源泉徴収した所得税額を比較し、その人が税金を納め過ぎていたら還付し、不足していたら徴収する。

 

このような流れで年末調整が行われるわけですが、以下、「扶養控除申告書」に焦点を当ててさらに詳しく見ていくことにします。

 

3. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

「扶養控除申告書」とは、正式名称を「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といいます。

 

この申告書は、翌年の最初の給与の支払いを受ける日の前日までに、給与の支払者(会社)に提出することになっていますが、実際は、12月の年末調整の時期に提出される方が多いと思います。

 

その理由として、年末調整は、その年で最後の給与の支払いをするときに、申告書を提出した人について行うことになっているからです[2]。

 

 

申告書を提出することにより、年末調整において「配偶者控除」や「扶養控除」を受けられるようになります。

 

これらの控除は、「配偶者や親、子を扶養している人は、単身の人に比べて生活費がかかるので、その分税金を安くしてあげますよ」というものです。

 

意外なことに、税務署や市区町村長から求められない限り、申告書は役所には提出されず、会社で保管されることになります[3]。

 

 

国内において給与収入のある人は、配偶者や扶養親族の有無にかかわらず、原則としてこの申告書を提出しなければなりません。

 

ただし、2以上の支払者から給与をもらっている場合は、いずれか一つの会社にしか提出できません[3]。

 

その理由ですが、企業は毎月の所得税を従業員から源泉徴収する際に、「源泉徴収税額表」というものを使って徴収する税額を決めています。

 

この税額表には、「甲欄」と「乙欄」があり、「甲欄」は申告書を提出した人に適用され、「乙欄」は申告書を提出していない人に適用されます。

 

税額表の「甲欄」に記載されている金額は、各種控除が反映されたものになっているので、「乙欄」に比べると、税額が安くなっています。

 

基本的には、この税額表通りに源泉徴収していれば、その年の最終的な所得税額とそれほど大きな差異は生じないように設計されています。

 

ところが、2か所以上の会社に申告書を提出してしまうと、本業と副業のどちらの給与からも「甲欄」の税額で源泉徴収が行われてしまい、各種控除がダブって適用された結果、本来納めなければならない所得税よりも少なくなってしまうのです。

 

ですので、誤って両方の会社に申告書を提出してしまった場合は、確定申告が必要になるケースがありますので、該当する場合は、期間中に正しい税額を申告するようにしてください。

 

 

まとめ

ということで、「年末調整」と「扶養控除申告書」について、ご理解いただけましたでしょうか?

 

ポイントをまとめると、

 

  • 「年末調整」とは、会社が税務署に代わって、給与所得者の所得税額を確定し、精算することである。
  • 「扶養控除申告書」とは、年末調整において、「配偶者控除」や「扶養控除」などを受けるために提出する書類であり、本業の会社のみに必ず提出しなければならない。

 

ということです。

 

次回は、副業がバレてしまう最大の原因である「住民税」と、その対策について書きたいと思いますので、引き続き、ご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

出典

  1. 「平成28年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/tebiki2016/PDF/03.pdf
  2. 「平成28年分 年末調整のしかた」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2016/pdf/h28nencho_all.pdf
  3. 「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_01.htm

副業がバレて解雇された2つの事例に学ぶ

解雇

はじめに

あなたは、以下のようなことで悩んでいませんか?

 

  1. 会社の給料が安くて生活が厳しい。
  2. 副業をしたいが、就業規則で副業が禁止されている。

 

もし、あなたがこれらに当てはまるなら、この記事がきっとお役に立てることでしょう。

 

なぜなら、副業に関する判例を知っておくことで、万が一、会社に副業がバレたとしても、懲戒されにくくしたり、懲戒されても軽い処分で済むようにできたりするからです。

 

今回は、副業禁止による解雇が有効となる場合を、2つの事例を通して見ていきたいと思います。

 

 

事例その1「小川建設事件」

事件の概要

ある会社の正社員が、勤務時間外にキャバレーで会計係をしていて解雇されたという事件。

 

判決のポイント

  • 公務員でない労働者の兼業は法律で禁止されておらず、就業時間外は本来労働者の自由な時間なので、就業規則で兼業を禁止するのは合理的ではない。
  • しかし、労働者が自由時間で疲労回復のために休養を取ることは重要だし、兼業の内容によっては、企業の秩序や信用に悪影響を与える場合もあるので、兼業を許可制にすることは不当とは言えない。
  • 原告の兼業は、就業時間とは重複していないものの、毎日の勤務時間は6時間かつ深夜に及ぶものであって、単なる余暇利用のアルバイトの域を越えており、本業に支障をきたす可能性が高いので、解雇は有効である。

 

 

事例その2「橋元運輸事件」

事件の概要

運送会社Yの従業員Xが、同一業種の会社Aを設立するにあたって、取締役に就任し、Y社の顧客であった親会社に対し、A社への発注を申請をして、Y社の業績を低下させようとした事件。

 

判決のポイント

  • 二重就職とは、会社の企業秩序に影響せず、会社に対する労務の提供に支障を生じない程度のものは含まれない。
  • Xは、A社の経営につき意見を求められるなどして、A社の経営に直接関与する可能性が大きいと考えられる。
  • Xは、Y社の単なる平社員ではなく、いわゆる管理職の地位にあったので、Y社の経営上の秘密がXによりA社にもれる可能性もある。
  • 以上の点から、XがY社の許諾なしに、A社の取締役に就任することは、Y社の企業秩序を乱すおそれが大きいので、これを理由とした解雇は有効である。

 

 

まとめ

上記2つの事件の判例をまとめると、以下のようになります。

 

  • 余暇に何をするかは、本来労働者の自由なので、就業規則で副業を全面的に禁止するのは法律違反である。
  • しかし、従業員の副業が「企業秩序に影響しないか」「本来の労務の提供に支障がないか」という観点で副業を許可制にするのは認められる。
  • 副業を長時間行っていたり、就業時間が深夜であったりする場合は、「本業に支障をきたす」と判断されてしまう。
  • 副業が同業種の場合は、経営上の秘密がもれる可能性があるため、「企業秩序を乱す」と判断されてしまう。

 

ということです。
ですから、あなたが副業に取り組む際には、

 

  1. 本業に支障が出るほど長時間の勤務にならないようにする。
  2. 本業と同業種の副業は避ける。本業の施設や備品、取引先を無断で利用しない。
  3. 反社会勢力と関わる副業や法律違反の副業をしない。

 

の3つに気を付けて副業を選ぶことが大切です。

 

これらさえ、きちんと守っていれば、万が一、副業が会社にバレたとしても、いきなり「諭旨解雇」や「懲戒解雇」のような重い処分にはなりにくいのです。

 

上手に副業に取り組み、あなたの人生の目的をかなえてください。

 

 

出典

  1. 「小川建設事件」(全基連)(https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/00839.html
  2. 「【裁判例情報】橋元運輸事件」(FOURBRAIN)(http://fourbrain.blogspot.jp/2002/04/blog-post_4230.html

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管理人: cue

大学卒業後、ある会社に入社するが、待ち構えていたのは、「月休2日、時間外130時間超」という過酷な労働環境。

「このままでは死んでしまう」と会社を退職するが、未経験者に冷たい日本の雇用市場において、転職活動で苦戦を強いられる。

「就職できないのであれば、自分の人生は、自分で切り開く!」と決意し、ネットビジネスを開始。

「人に喜ばれる仕事をする」ことをモットーに、日々ブログで情報を発信している。

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